|
世界に通じる学校 国際学校UWCの異文化理解教育 編著 山本ゆうじ
世界七十カ国の高校生と学び、生活する!
対象読者: 教育問題、国際理解・異文化理解教育、留学に関心がある高校生とその家族、一般読者、教育者 内容(03/02/08更新)0. 序文1. はじめに
2. 目次3. UWCとは
4. イギリス校アトランティック・カレッジ
5. 授業――選べる教科、先進的な教育課程
6. 教科外活動――授業を超える授業
7. カルチャー・ショック!
8. 世界中の友達との生活
9. 各カレッジの紹介
10. 活躍する卒業生
11. UWCの歴史・現在・未来
12. UWCの教育の特徴
13. UWCの組織
14. 国際バカロレア資格(IB)
15. 読者へのメッセージ
16. よくある質問17. 用語集18. 参考文献
19. 連絡先
20. あとがき概要現在海外留学は英語圏の他、非英語圏へも増えてきており、高校留学に関する書籍は少なくない。だが国際学校の実情を紹介した書籍、また国際バカロレア資格 に関する書籍はないに等しい。UWC(ユナイテッド・ワールド・カレッジ)は国際バカロレア資格に完全に準拠した、非営利の国際的な教育機関である。UWCはありふれた留学経験とは一線を画すもので、当初から国際理解・異文化理解を目的として掲げ、世界約七十カ国以上から高校生を集めて奨学金を提供し、二年間共に学び、生活する。 本書は、このUWCのユニークな教育システムを紹介する。日本から派遣された生徒の様々な印象的な体験、極めて興味深いエピソードをおり込む。日本からは経団連内のUWC日本協会により奨学生が英国、カナダ、アメリカ、イタリア、中国(香港)、シンガポール、ノルウェー、インドの国々にあるUWCの国際学校に派遣されている。UWCの教育課程は、多彩な選択科目、ゆとりのある少人数教育、文化を超えた信頼感を醸成する野外教育、地域と密着した奉仕活動などを始め、未来の教育の理想を先取りしている。一例として『ハリー・ポッター』のホグワーツ校とUWC英国校アトランティック・カレッジを比較し、教育システムを分かりやすく紹介する。UWCでの教育の特色は、全寮制のキャンパスで世界七十カ国以上の生徒とただ学ぶだけでなく、一つ屋根の下で二年間寝食をともにし、様々な異文化を全身で触れることにある。 UWC在校生・卒業生の活躍はメディアでもしばしば取り上げられる。モザンビーク出身の英国校生徒が祖国の水害の救援に向かう様子が、2000年3月にBBCで報道された。卒業生は、国際的な企業の社長や宇宙飛行士などをはじめとして、社会のさまざまな分野で活躍している。 大学レベルのクラスを含む高度な教育は奨学生にとって決して楽なものではない。またカルチャー・ショックを受けて考え方や生き方が大きく変わることもある。だがこの二年間で彼らが学ぶものは大きく、世界中の同世代の友人との友情は、なによりも堅固な未来の平和への礎となる。柔軟な感性を持つ高校生が異文化と出会ったとき、何を見、何を思ったか、奨学生の豊かな体験は、これから留学を考える高校生やその親たちだけではなく、教育の可能性を模索する教育関係者にとっても、学級崩壊や不登校に揺れる日本の教育の閉塞状況を打破する示唆に富んでいる。UWC英国校卒業生である筆者と、卒業生・在校生の印象的で具体的なエピソードも交えながら、UWCとその教育の可能性を詳細に紹介する。 UWCについてUWCは本部をロンドンに置く非営利の国際的な教育機関であり、NGOとしてUNESCOと公式な協力関係にある。その教育活動は世界の有力者の協力な支持と後援を得ている。いくつか例を挙げればチャールズ・英国皇太子が務めていたUWC会長職は、現在はヌール・ヨルダン前王妃が務めている。またヌール前王妃と共にUWC会長を務めた南アフリカ共和国前大統領ネルソン・マンデラ氏は、UWC国際評議委員会名誉会長として今後もUWCに関わることが発表された。UWCカナダ校は元カナダ首相でノーベル平和賞を受賞したレスター・ピアソン氏の意思を継ぎ、同氏の名が冠せられている。UWCノルウェー校はソーニャ・ノルウェー王妃の後援のもとにある。このような有力な支援者のもとで奨学生は国籍、文化、人種、宗教、経済力などのいっさいの差別を受けることなく、国際理解を推進する意思と能力に基づいて選考され、派遣される。UWCは奨学金を提供する非営利団体であるため、運用資金は企業や個人の献金によってまかなわれている。 関連リンク経団連内 UWC日本協会 UWC募集要項、問い合わせ先 UWC日本ネットワーク 卒業生によるUWCの充実した紹介 |