「忙しくて翻訳ワークフローの見直しなんてできない!」
ここでは、主にプロの翻訳者または翻訳業務ユーザーに関する情報を紹介しています。最近更新した箇所は緑の字で示しています。
SATILAプロアシストは、翻訳者が使用する翻訳支援システムです。自動翻訳システムではありません。翻訳者・翻訳部門がある(翻訳業務のためのリソースがある)企業クライアント、翻訳会社に適しています。
SATILAプロアシストは、個人が単独で導入した場合にも効果はありますが、一般的には、人数と翻訳規模の大きさに比例して、効率が向上します。
用語や表現がソフトウェアにより管理されているため、統一のとれた翻訳を効率よく行うことができます。特にチーム翻訳を行う場合には、用語を統一し、品質を維持しつつ効率を上げることができます。具体的には以下の利点があります。
翻訳会社で、分量が多く、納期が限定されている場合、複数の翻訳者が協力して翻訳します。これをチーム翻訳と呼んでいます。この場合、手動で用語集を参照するともれが生じ、またバラバラな用語で翻訳されてしまうことがあります。SATILAプロアシストでユーザー辞書を共有すれば、「使用すべきでない用語」に注意を促し、また「使用すべき用語」を全員で確実に使用することができます。
自動翻訳システム「SATILAオート」では、企業等の組織で使用します。SATILAプロアシストで蓄積されたデータを用いて、従来の自動翻訳よりも品質を向上することができます。「SATILAオート」は、「よく調整された自動翻訳」であるといえます。これに対して、SATILAプロアシストでは、さまざまな翻訳支援ツールを活用しつつ、翻訳者が最初から最後まで翻訳をします。
一定の経験を持つ翻訳者としての技能、SATILAパッケージ、翻訳メモリー、翻訳ソフト、所定の講習が必要です。
ユーザーには、SATILA管理者とSATILA操作者の違いがあります。SATILA管理者は、全体の工程を管理するために、より高い知識と技能が求められます。
SATILAプロアシストでは、以下の要件のすべてが必要となります。
翻訳ソフトは構文解釈を誤ることがあるため、原文をほぼ確実に理解する能力が必要だからです。
翻訳ソフトにも翻訳メモリー機能はありますが、専用の翻訳メモリー ツールには及びません。
翻訳メモリーを翻訳ソフトと併用することで、さまざまなファイル形式、特にXMLやHTMLなどのタグ付きファイルに対応することができます。翻訳ソフトは自然な文を解析することに特化しています。タグは文の構造とは関係なく、翻訳ソフトにしてみれば「余計な要素」なので、翻訳ソフトではうまく扱えないのです。
また、翻訳メモリーを使えば、文単位での翻訳資産の管理がしやすくなります。
翻訳ソフトを使用すれば、翻訳メモリーでまったく一致率がない場合でも、作業能率を向上できます。またユーザー辞書を介して、適切な訳語を共有できます。
SATILAプロアシストでは、そもそも翻訳者としての技能が十分な場合にのみ活用できます。また漫然とソフトの訳を流用しているだけだと、手抜きと思われてもしかたありません。
しかし、翻訳支援ツールの有無とは無関係に、手抜きの誘惑は常にあります。「ツールを使わないから、手抜きはしていない」ということにはなりません。また仕事に適切な道具を使うこと自体は手抜きではありません。
翻訳者には、常に高い倫理基準が求められます。SATILAは「安かろう悪かろう」を目指しているのではありません(SATILAオートでは、大規模翻訳で品質よりもコストを優先する、特定の用途を想定しています)。
かつて「ワープロを使うと文章がだめになる」という議論がありましたが、ワープロが普及するに従って、必ずしも正しくないことが理解されてきています。業務用翻訳ソフトについても似たようなことが言えます。
一括置換ツールでは、単数・複数形の変化や、語尾の活用などにうまく対応できません。また、語順を入れ替えてくれないので、手動で手直しする必要があります。また、一括置換という方法では、予想もできない誤りが残ってしまう可能性があります。そのような誤りは後で全文を確認しないと取り除くことができません。SATILAでは、一文一文を翻訳者がそのつど確認する方式であり、効率を下げずに誤りを防ぐことができます。
従来は後編集の自動化についての体系的な研究が不足しており、後編集が大きな負担になっていました。自動翻訳を研究していた大企業でも、この問題は解決できませんでした。
SATILAでは、長年の独自ノウハウの蓄積により、ユーザー辞書を調整し、翻訳精度を引き上げて、さらに後編集の自動化を進めています。後編集をゼロにすることはできませんが、最小限にすることができます。
翻訳ソフト、特に対訳エディタの機能を活用していない可能性があります。訳語が不適切な場合は、別訳語を選択できることをご存じですか? 構文解釈が間違っている場合は「別解釈」を試せる翻訳ソフトもあります。
またゼロから始めた場合は、数日程度ではカスタマイズがまったく不十分です。SATILAパッケージに含まれる基礎ノウハウ データを使えば、実際に求められる翻訳の品質が得られるレベルまで短期間でカスタマイズできます。
SATILAのノウハウがない場合には、後編集の負担を軽くすることはできません。SATILAには5年以上のノウハウが蓄積されています。
SATILAは、IT翻訳ではすでに多数の実績があります。程度は異なりますが、どのような分野でも一定の効果はあります。特に、原文の量が多く、用語が統一されており、専門性が高い場合は、分野を問わず有効です。翻訳メモリーのみの場合と異なり、文単位での繰り返しが少ない場合でも、有効です。
逆に、一件ごとの原文の量が少なく、一般的な内容のメールなどでは効率が下がります。
文芸翻訳・出版翻訳でも使えますし、基本的な手順は同じです。ただし、効率という点ではIT翻訳と同程度にはなりません。翻訳者の高度な判断が必要になる状況が増えるからです。SATILAプロアシストでは、分野を問わず、翻訳者の判断は常に必要とされます。ただ、文芸翻訳・出版翻訳では、特にその回数が増えます。しかし、翻訳支援ツールを使用しない場合と比較すると、確実に品質と効率を向上でき、訳抜けを防止するともできます。
用語、人名、地名、日時などは、一度訳し方を決めてしまえば、だれが何回訳しても同じです。「訳出しない」「他の表現に変更する」といったことが必要であれば、翻訳者は常にそうすることができ、ツールを使用しない場合と比較して、不自由になるわけではありません。
特に「用語や表現を何度も使え、自分自身の表現辞書を構築できる」という点は大きな利点となります。
一例として、以下の作品はSATILAを活用して翻訳しています。
オー・ヘンリー「魔女のパン」
SATILAは、「翻訳者」が自分の持っている翻訳ノウハウを効率的に適用するものです。翻訳者でない方が翻訳ソフトをどのように使ってもこのような翻訳はできません。
また、翻訳者が翻訳ソフトを使っただけでも、このような翻訳ができるとは限りません。このような訳をするためには、SATILAワークフローを習得する必要があります。単に「使った」というだけでなく、使うことで「入力の手間が省けた」「訳語の統一ができた」というメリットがなければ意味がありません。それを実現するためには、SATILAのノウハウが必要となります。