そうなんです。でもそれだけではありません。
翻訳を外注しても思いどおりに翻訳してもらえず、チェックするのに多くの時間と労力を掛けていませんか?
価格の安さだけで翻訳会社を選んでいませんか? ムダな翻訳料金を払っていませんか?
プロの翻訳者ではない「社内の英語ができる人」に翻訳を頼んでしまい、後悔していませんか?
企業内の翻訳に関する不満を、根本的に解決する方法があります。
翻訳の品質を上げつつコストを下げる。それは決して不可能ではありません。
ここでは、翻訳発注者の企業の方向けに、「どうすれば企業翻訳を改善できるか」というコツをご紹介します。以下にご紹介している点に注意するだけで、正確で高品質な翻訳を、妥当な価格で、速く仕上げてもらうことができます。翻訳会社のプロジェクト マネージャー(コーディネーター)の方もご覧いただくとよいでしょう。
正確なお見積もりをするにはすべてのファイルが必要となります。
あまりに深く、複雑なフォルダー構造だと、ファイルの見落としの原因になります。何重にも入れ子になったZIP圧縮ファイルは、解凍と準備に余計な手間がかかります。
ファイルを圧縮するときは、エクスプローラーで、1つまたは複数のファイルを選択して、右クリックし、[送る]→[圧縮(zip形式)フォルダー]を選択します(フォルダーを圧縮するのではありません。「圧縮フォルダー」はそれ自体がフォルダーです。フォルダーを圧縮すると、フォルダーの中にフォルダーができてしまいます)。
また、フォルダー名やファイル名はできるだけ具体的にすることが必要ですが、あまりに長いと、OSや翻訳ツールでのエラーの原因になります。
翻訳会社や翻訳者への発注時には、翻訳対象外のファイルが入らないように、実際に訳してほしいファイルのみを送ります。誤ったファイルを送ると、不要な翻訳コストが発生することがあります。
ひとつのファイルの中に原文と訳文を混在させないようにしましょう。翻訳者が訳すのは原文のみです。原文と訳文が入り交じっていると翻訳資産として管理できません。
原文の誤りは、Microsoft Wordのスペルチェックや校正機能で簡単にチェックできます。スペリング エラーは、翻訳後に確認するよりも先に確認したほうがスムーズに作業できます。
PDFは翻訳に適しておらず、レイアウトやその他の作業でさまざまな問題の原因となります。可能な限り、PDFにする前の、元のファイル形式で翻訳を依頼します。PDFで発注するのは、元のファイル形式がどうしても入手できないなど、合理的な理由がある場合のみです。
以下の情報を伝えると、より的確に翻訳をしてもらえます。原文を読めば推測できますが、推測の場合はご要望の意図とずれが生じることもあります。
事前に分量を正確に把握して、分納の回数を減らすようにします。分納が増えると、ファイルの管理が複雑になります。また、先に分納したファイルに修正が反映されなくなることがあります。また、翻訳中により適切な用語が見つかることもあります。分納の回数が増えると、このような用語がうまく反映できません。
翻訳メモリーを正しく活用して計画的に翻訳を管理すれば、ぎりぎりの分納を繰り返して翻訳の品質を下げるような事態を防げます。
翻訳発注は、個別の部署がバラバラに管理して発注するより、可能な限り集約的に管理することが理想的です。翻訳メモリー、用語集、スタイル ガイド(表記基準)など、情報共有の仕組みを作ることで、翻訳コストを下げ、均質な翻訳ができます。
用語集を作り、管理するのは、発注企業の責任です。用語管理者を決め、用語集を作ることで、翻訳文書の用語面での品質を管理できます。UTX形式を使うと、簡単に用語集を作成でき、Excelでも管理できる一方で、さまざまなツールで活用できる用語データにできます。(秋桜舎では用語抽出から用語集活用のお手伝いも行っています)
翻訳では表記を明記した、スタイル ガイドを使いましょう。他社のスタイル ガイドを無断で使用するのは、法律的に問題があります。また、合理的な理由がないのに、むやみに企業独自の規則を増やすと、誤りが増えます。
自社のスタイル ガイドがなければ、標準的な表記基準を使用することをおすすめします。一例として、JTF標準スタイル ガイドは無料で公開されており、自由に使用できます。
翻訳の分量を正確に把握するため、SDL Tradosなどの翻訳メモリーでプロジェクト管理をして語数カウントを行い、計画的に発注しましょう。「明日までに翻訳してください」という急な依頼ばかりでは、優秀な翻訳者を確保できず、翻訳の品質が低下します。その結果、発注側のチェックの手間が増えることになります。
SDL Tradosなどの 翻訳メモリーは、活用すると品質を上げ、コストを下げることができます。しかし、翻訳メモリーは誤解されていることが非常に多い技術でもあります。「繰り返しが少ないと翻訳メモリーは無意味」というのはよくある誤解の一つです。翻訳メモリーを導入済みの企業でも、基本がしっかり理解できているか、確認しましょう。
フォルダー名やファイル名は、 簡潔にしつつ、なにについてのデータか、だれが見ても分かりやすいように具体的に付けます。自分にしか、または社内の一部の人にしか分からない「KVB245」のような記号や略号を使うと、誤解が生まれ、正しい内容を把握するために余計な時間がかかります。
丸数字、ローマ数字、半角カタカナのような機種依存文字を、原文そのものや、フォルダー名やファイル名では使わないようにします。データの処理時に問題が発生します。
用語ツール、翻訳メモリー、チェック ツール、Wordなど、各種のツールを組み合わせれば、短時間で誤りを徹底的に探せます。用語チェックの一例をご紹介しています。
翻訳体制全体の見直しをすることで、翻訳の誤りを確実に減らせます。