UTXでは、用語ステータス(term status)を使って、文章や翻訳の訳文で使われている用語を、より分かりやすい用語で統一できます(用語ステータスの詳細は、UTX 1.20仕様をご覧ください)。意味が同じ同義語でも、「褥瘡」の代わりに「床ずれ」という用語を使ったほうが分かりやすいことがあります。一つのUTX対訳用語集を、「分かりやすい文章」と「分かりやすい翻訳」のどちらにも活用できるわけです。
UTXでは、ある用語を用語集に含めるべきか、用語として適切かどうかを「用語集管理者」が管理します。用語集管理者が、読者にとって難し過ぎるなど、使用すべきでない用語であると判断した場合、用語ステータスで「禁止(forbidden)」を指定します。一方で、使用すべき用語の用語ステータスを「承認(approved)」にします。
さらに、UTX変換ツールを使うと、UTX用語集から、禁止語とそれに対応する承認語のペアを、タブ区切り形式のリストとして抽出できます。次に、換の玉のような置換ツールを使うと、このようなリストに基づいて、分かりやすい用語に一括または逐次置換できます。
どの語を禁止すべきかという基準は絶対的なものではありません。用語集によって用語集管理者は異なりますし、用語集管理者が異なれば、判断基準も異なります。用語集管理者は、その用語集が使われる組織の合意形成を、用語集に最終的に反映する代表者という位置付けになります。
なお、上図では”yomi:ja”という読みがな情報が入っています。「増悪(ぞうあく)」は「憎悪(ぞうお)」と読み違えることがありますが、ここを見ると違う語ということがはっきり分かります。
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